2015/01/28

出産

忘れないうちに出産のことを書いておこうと思う。

今まで生きてきた中で一番強く感動的なことだった。

無我夢中で

動物的で

とてつもなくパワフルなエネルギーで

温かくて愛に溢れて気持ちよくて。

3つの異なる存在が

誕生というひとつのことを目指していくことにより

魂が結びつくような

強い絆で繋がっていくことを感じた。

16日。
午後。前駆陣痛のようなお腹の痛みとおしるし。なんだかドキドキそわそわして誰にも何も言わず普通に過ごしてた。でもなんとなく怪しい気がしたので夕方お風呂に入って夜ご飯食べてのんびりしてるとやっぱり周期的な痛み。キュイーンとお腹が締め付けられるくらいでまだ余裕。これが陣痛?全然痛くないし。10分おきになったので産院に電話して母が車で送ってくれた。

17日。

朝1時過ぎ。
ベッドに転がって旦那さんに電話。まだ普通に話せる。旦那さんのためのタクシーも手配して、来てくれるのを待とう・・と思っていたら段々腰の痛みが増してきた。そこからずんずんずんずん痛みがやってきて、旦那さんが到着したときにはもう普通に話せなかった。午前3時過ぎ。ちょっとほっと安心して手を握ってもらって、ひたすらソフロロジーの呼吸を続けた。

腰の骨を闘牛の角でアタックされ続けている ・・

身体が壊れる・・ 


朝8時。
気がついたら朝で産院の朝ごはんが運ばれてきたけど、そんなの食べれる余裕なんてみじんもなく、旦那さんに全部食べてもらって、横でひたすらうーうー耐える。父と母も様子を見に来てくれたけど、旦那さんと2人で集中したかったので愛想も何もなく家に帰ってもらった。ごめん。

11時頃。
陣痛待機室に移動。立って歩くのも一苦労。一歩一歩が出ない。ベッドに横になると腰の痛みが倍増してるー!破水。 院長先生が診に来てくれて、優しい言葉をかけてくれた。痛いけど赤ちゃんも頑張ってるよ、いっぱい呼吸して赤ちゃんにいいエネルギーがいくように、一緒に頑張ろうね、笑顔で迎えようね、と励ましてくれて、赤ちゃんに「元気で降りて来てね、待ってるよー」と唸りながら話しかけた。体勢を変えるたびに腰に激痛が走って呼吸が乱れたり力が入って、羊水も出てくるしさっきより赤ちゃんが降りて来てるのを実感できてきた。子宮口は8cmくらい。痛みも不思議と慣れる、ちょっと冷静さを取り戻してひたすら呼吸。でも実は身体はすごく疲れてたみたいで陣痛が弱まってしまってた。

午後14時。
「昼過ぎには産まれてくれへんかな・・」「こんなん2人目とか絶対ムリやな」雑念が色々と頭をよぎる。旦那さんはお昼も食べずトイレも行かず一睡もせずずーっと身体や頭を撫でて祈るように手を握って側で声をかけてくれてた。隣の分娩室は誰かが出産したみたいで赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。おめでとう。私も早く産みたい・・

「分娩室に移動しましょうか」と 助産師さん。嬉しいけど腰が痛過ぎて身体が起こせない・・陣痛の合間を見計らって立ち上がって支えてもらいながらどぼとぼ歩いて、分娩台に乗るとまた腰にさらなる激痛。ここから痛みが最強にきつかった。しばらくすると痛みにも慣れてまた呼吸のコントロールが出来るようになった。副院長先生が診に来てくれて、もうだいぶ降りて来てるよー、と言ってどこかに行ってしまった。え、先生何処行くの、行かないでー!と思いながら耐える。まだ出てこないのか・・

16時頃。
すでに14時間経過。助産師さんがやってきて、「陣痛が弱くなってきてて、このままだとあと最低でも3時間はかかる。もう長いことがんばったし、陣痛促進剤を打ちましょう?」すかさず「はい。」と答えてサイン。出来るだけ医療行為はしたくないな、と思ってたけどそんなこと言ってる余裕は全くなかった。自覚はないけど朝方から飲まず食わず寝ずだったので相当疲れてたみたい。

そこからは陣痛の波が激しくやってきた。でもお腹が痛いというか腰のほうがずっと痛くて、出産経験者のみんなから「脱力と吐く息が大事」と聞いていたのでそればかりで逆に力む感覚がつかめない(普段も脱力系やし)。そんなこんなしてたらいきなり会ったこともない当直の先生(え、誰!)と、助産師さん何人かと副院長先生がばーっと入ってきて大きなライトがピカーと光った。やったー!ほんまにもうすぐなんや!ラストスパート、頑張ろう!

副院長先生に「息いっぱい吸って、2、3秒とめてから思いっきり腹圧かけていきんで」と言われ「え?長く吐かなくていいの?ソフロロジーとか呼吸法とかちゃうやん!」と思いながら先生に言われた通りに。開脚はもう骨盤がアホみたいになっててどこにでも開けるけど、開き過ぎもダメみたいで開く方向を調節してもらった。みんなほんとに優しくて、褒めながら励ましてくれて意識は朦朧としてたけど最後の力を振り絞った。「頭見えて来たよ!」と言われてから何度いきんやろう。赤ちゃんは出たり入ったりしながら出てくるのです。強くいきんだあと子宮口にどーんとした存在感、頭があるのがわかった。「これで最後!もうでてくるよ!」と言われて思いっきりいきんだら、にゅるにゅるにゅるーとなまあたたかい感じと同時にお腹がすこーんと抜けて、今まで痛かった腰の痛みが魔法のように突然なくなった。

 

我が子が目に飛び込んできた。

目が覚めたようにこの16時間の葛藤が全てがぶっ飛んだ。

一瞬で世界が変わった。

やっと会えた・・ 

身体はへとへとなはずなのに、不思議とふんわり気持ちがいい。

朦朧としてた意識がしっかり戻って、旦那さんの顔もくっきり見えて、ちょっと汗ばんだ手を握って頬をよせてふたりで喜んだ。旦那さんは泣いてた。この手、大きさ、温かさ。どれだけ心の支えになって、包んでくれたか。今思い出しても涙が出そうなくらい心強かった。 ずっと側にいてくれて、ほんとにありがとう。3人で繋がって、がんばったね。

助産師さんが産まれてすぐの赤ちゃんを私の胸の上にのせてくれた。

温かくてむにゅむにゅ柔らかい・・

幸せの種のシャワーが降って来た。

頭はぽかーんと空っぽになって、身体がふわふわして、柔らかい雲に3人で包まれているような気持ちよくて愉しくてほっとした感じ。

そのあと赤ちゃんをきれいにしてもらってる間、私は胎盤と子宮の中のいらない血液をいっぱい出した。ちらっとみた胎盤は真っ赤な固まりだった。なんだかとてつもない生命力を持つ物体に見えた。今まで私のお腹の中でがんばってくれてありがとう。

当直のお医者さんに会陰切開の傷を縫ってもらいながら、呂律もうまいこと廻らないのになんでそんな話の流れになったのか思い出せないけど、おいしいラーメン屋や鶴橋のホルモン屋の話で和気あいあいと盛り上がった。さすが大阪の産院。すごい出産の締めくくり方。笑 身体はケロっとしてて、疲れはみじんも感じなかった。(でも実は貧血で白血球の数値もおかしくあとで薬をもらった)

16時間、本当に痛いし大変やったけど、 「愉しかった!」「もう一回やりたい!」と思う。

産まれる瞬間のあの神秘的なにゅるにゅる感と、そこに至るまでの道のりの中で築かれる最高で最強の絆は私の人生のかけがえのないものとして深く刻まれた。みんなで強くなれた。

ひとりでは絶対に出来ないこと。愛する人とだからこそ一緒にできること。

ずっと一緒にいてくれた旦那さん、心配してくれた家族、とても優しかった産院の先生、助産師さん、安産を祈ってくれていたみなさん、心の底から感謝しています。みなさんの支えのおかげで最高に幸せなお産ができました。

お腹の中ですくすく育ち、元気いっぱいで産まれてきてくれた赤ちゃんにも

ありがとう。

ありがとうがいっぱい。

産まれてまだ10日。

毎日が新しく

どの瞬間も愛おしく

彩りで溢れる毎日です。

次は、産後の日々のことを書こうと思います。